専門家コラム

■利用者・家族に病状や在宅での生活について十分な説明を行うこと

 

*** 久保理事 日総研出版「地域連携入退院支援」2014年5・6月号 Vol.7執筆掲載分より抜粋 ***

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地域における医療と介護を取り巻く現状と課題
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■利用者・家族に病状や在宅での生活について十分な説明を行うこと
肺がん末期(多発骨転移・脳転移あり)の63歳の男性のTさんは、妻と2人暮らしで、本人はホスピスを希望していました。ホスピスに入るまでの間のつなぎの在宅という形でかかわらせてもらったのですが、家族や本人と話をしてみると、在宅を希望していることがわかりました。

在宅医療のもっとも重要な点は、利用者と家族に現在の病状や、予後を含めた今後迎えるさまざまな症状に関して時間を持ってゆっくりと説明ができることではないかと思います。

Tさんたちの場合は、互いを思いやってのホスピス選択でした。介護力不足でTさんへ十分なことをしてあげられないという妻の思い。大変な介護を妻一人でさせるのは申し訳ないというTさんの思い。これがホスピスを選択した一番の理由でした。しかし、ホスピスに入るまでの間の在宅の期間で、大きく気持ちが変化しました。

何かあってもすぐに医師や看護師が来てくれる。自宅で酸素吸入や十分な疼痛管理もしてもらえる。入浴や洗髪などの身体介護もしてもらえるなど、在宅のサポート体制が分かると、「このまま在宅でもやっていけるかもしれない」という気持ちに変化してきました。そして、病状の進行が想像していたよりも進んでおり、はるかに時間がないことがわかると、「それだけしか時間がないのなら。。。お家で」と気持ちが変化しました。

急性期病院などでは在院日数の短縮が叫ばれ、命を救うだけで精いっぱいの状況であり、具体的な在宅での医療・看護・介護や自宅での生活の説明がなされていない、また十分に説明してもらっていても、受け取る側が十分に理解できていない場合も多いのではないかと感じています。

今では外泊の時にも訪問看護がかかわることができます。外泊で訪問看護が介入し、入院中から在宅チームとつながりを持てるようになれればと考えていますが、まだまだ病院と在宅チームの連携はスムーズではなく、バリアだらけで、これからの課題であると考えています。